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業界の動向

グリッドレベルのエネルギー貯蔵システムとしてはリチウムイオン電池が現在の主流だが


現在、系統用蓄電システムとしてはリチウムイオン電池が主流ですが、大容量の電力を長期的に貯蔵・送電するのには適しておらず、主に系統周波数調整や非常用電源の送電といった補助的な用途に使われています。
蓄電池システムの容量は増加傾向にあり、最大1GWの容量が計画されているとはいえ、200MW/MWh程度が限界である。 新しいA-CAESは、長期エネルギー貯蔵の市場シェアを獲得できるかもしれません。
カナダの新興企業であるHydrostor社は、最近、カリフォルニア州に500MW / 5GWhのA-CAESを2基建設する計画を発表しました。
A-CAESは、系統連系や再生可能エネルギーによる空気を地下の大型貯蔵タンクに圧縮し、電力が必要なときにタービンで放出する新しいタイプの圧縮空気貯蔵システムです。 電力を放出すると、水が下に流れて圧縮された空気が放出され、その空気でそれまで蓄えられていた熱を持った空気の効率を上げ、タービンを駆動して発電するのです。
電気エネルギー変換効率(ラウンドトリップ)では、一般的な圧縮空気貯蔵システムは40%~52%ですが、Hydrostor社のシステムは60%で、2台のA-CAESシステムで10GWhのエネルギーを貯蔵し、1回の放電で8~12時間のエネルギーを供給することができます。 エネルギー変換効率はまだリチウムイオン電池の90%以下ですが、A-CAESシステムの寿命は最大50年で、設置台数が増えれば、長期的にはリチウムイオン電池より設置・増設コストが安くなります。
Hydrostor社はすでに米国カリフォルニア州のRosamondに2026年に完成予定の新プラントを展開しており、正確な時期や場所は未定ですが、第2プラントがカリフォルニア州に設置される予定です。


作者
林唯耕・教授
学歴 | 米国メリーランド大学博士
現職 | 国立清華大学工学・システム科学部兼任教授
專門 | 電子構造放熱、ヒートパイプ、ループ式ヒートパイプ (CPL、LHP、PHP)、省エネ設計、太陽エネルギー蓄熱と冷却、熱流システム、電子部品の冷却、二相流、人工衛星及び上空飛行物体の熱伝導部品

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